なぜEffectなのか?
動機(Motivation)
プログラミングは困難だがやりがいのある作業です。ライブラリやアプリを構築する際、複雑さを処理し、日常業務をより管理しやすくするために多くのツールに頼ります。Effectは、TypeScriptにおけるプログラミングに対する新しい考え方を提示します。
Effectは、より良いアプリケーションやライブラリの構築を支援するツールのエコシステムです。Effectを使うことで、TypeScript言語と、型システムを効果的に活用する方法を習得できます。これにより、プログラムの信頼性と保守性を向上させることができます。
「典型的な」Effectを使わずに記述したTypeScriptのコードは、関数が成功するか例外をスローすることを前提としています。以下は、簡単な割り算(devide)の例です:
const divide = (a: number, b: number): number => { if (b === 0) { throw new Error("ゼロで割ることはできません") } return a / b}型から見て、この関数が例外をスローする可能性があるか、まったくわかりません。コードを読むことでしかわかりません。コードベースに関数が1つしかない場合はそれほど問題ではないかもしれませんが、数百や数千の関数があると、その影響は非常に大きくなります。関数が例外をスローする可能性を忘れたり、例外を処理することを忘れたりするかもしれません。
多くの場合、私たちは「最も簡単な」方法、つまり関数をtry/catchブロックでラップすることを選びます。これはプログラムのクラッシュを防ぐための最初の一歩としては良いですが、複雑なアプリケーションやライブラリを、管理したり、理解することが簡単にはなりません。もっと良い方法があります。
TypeScriptで最も重要なツールの1つはコンパイラです。コンパイラは、バグ、ドメインエラー、一般的な複雑さに対する防御の第一線です。
Effectパターン
Effectは様々なツールから構成される広大なエコシステムですが、もしそれを1つのアイデアに要約するなら、次のようになります:
Effectの核心となる独自の洞察(major unique insight)は、上述したdevideの例のように、成功値のみを追跡するのではなく、型システムを使って「erros」と「context」(この後詳しく説明します)を追跡できるということです。
以下は、上記のdevideと同じものですが、Effectパターンを使用しています:
import { Effect } from "effect"
const divide = (a: number, b: number): Effect.Effect<number, Error, never> => b === 0 ? Effect.fail(new Error("ゼロで割ることはできません")) : Effect.succeed(a / b)型シグネチャを見ることで、成功値が何であるか(number)、どのようなエラーがスローされる可能性があるか(Error)、関数が必要とするコンテキスト(ここではnever、つまり必要なコンテキストはありません)を正確に知ることができます。この関数は、もはや例外をスローせず、エラーを呼び出し元にきれいに返すことができます。
いまや、エラーは成功値と同じように扱える値になります。Effectは、エラー管理や成功値の管理を楽にする多くの関数を提供します。
さらに、コンテキストを追跡することで、すべてを引数として渡さずに関数に追加情報を提供できます。例えば、コアビジネスロジックを変更せずとも、テスト中は実際の外部サービスの実装をモックに入れ替えることができます。コンテキストには他にもさまざまなユースケースが存在します。
Effectのエコシステム
Effectの独自の洞察は、他の多くのツールとともに、ライブラリの豊かなエコシステムを築く結果となり、TypeScriptを用いた複雑なアプリケーションの構築を簡単にしました。以前は不可能に思えたことが、今では普通のこととなっています。Effectのエコシステムは急速に成長しており、成長しつづけているリストはEffectのGitHubで見つけることができます。
車輪の再発明をしない
TypeScriptにおけるアプリケーションコードは、しばしば同じ問題を繰り返し解決しています。外部サービス、ファイルシステム、データベースとのやりとりなどは、すべてのアプリケーション開発者にとって共通の問題です。Effectは、これらの問題に対する標準化されたソリューションとなる、豊かなライブラリのエコシステムを提供します。これらのライブラリを使用してアプリケーションを構築したり、それを使って独自のライブラリを構築したりできます。
エラーハンドリング(error handling)、デバッグ(debugging)、トレース(tracing)、非同期(async)/プロミス(promises)、リトライ(retries)、ストリーミング(streaming)、並行処理(concurrency)、キャッシング(caching)、リソース管理(resource management)などの課題をEffectを使用することで管理可能になります。これらの問題の解決策を再発明したり、多くの依存関係をインストールしたりする必要はありません。Effectを1つ入れさえすれば、多くの異なるAPIを持つ、さまざまな依存関係を新たにインストールしなくても解決してくれます。
実践的な問題を解決する
Effectは、ScalaやHaskellなどの他の言語で行われた優れた仕事から大きな影響を受けています。しかし、Effectの目標は実用的なツールキットであり、TypeScriptでアプリケーションやライブラリを構築する際、開発者が直面する現実の問題を解決するために、多大な努力を注いでいることを理解していただきたいと考えています。
構築と学びを楽しむ
Effectを学ぶことは非常に楽しいでしょう。Effectエコシステムの多くの開発者が、実際の問題を解決するためにEffectを使用しており、TypeScriptを最も有用な言語にするための最先端のアイデアを実験しています。
Effectのすべての側面を一度に使用する必要はなく、解決中の問題に最も適したエコシステムの部分から始めることができます。Effectはツールキットであり、ユースケースに最も適した部分を選ぶことができます。ただし、コードベースの多くの部分がEffectを使用するようになればなるほど、エコシステムのさらなる活用を望むようになるかもしれません!
Effectの概念はあなたにとって新しいものであり、最初は完全に理解できないかもしれません。それは、いたって普通のことです。ドキュメントを読み、コア・コンセプト(核となる概念)を理解するのに時間をかけてください。これにより、Effectエコシステムのより高度なツールを使用する際に、本当に役に立ちます。Effectコミュニティは、あなたの学びと成長を喜んで支援します。ぜひ私たちのDiscordに参加したり、GitHubで議論をしたりしてください! 私たちはフィードバックや貢献にオープンで、Effectを改善する方法を常に探求しています。